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あぶら取り紙で体脂肪率を下げる

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【はじめに】

太った。

こんな食生活をしていたらもしかして太るんじゃないかな、いや太らないだろ、30代に突入したと言ってもなんだかんだ日本の全人口の上位20%くらいの若さだし、と油断して毎日大きなおにぎりと揚げ物ばかり食べていたら完全に太ってしまった。日本が高齢化社会なのを忘れていた。

体重増加もさることながら体脂肪率の上昇が目覚ましく、春先にあった会社の健康診断でも内臓脂肪過多を指摘されている。

健康的に体脂肪を燃焼させるためには運動が一番。しかし平日はデスクワーク、休日はステイホームで、慢性的な運動不足を解消するのは難しい。

できるなら、食事制限もなく、運動もせず、とにかく体脂肪率を楽に減らしたい。

ピンポイントで体の油分だけを取り除く、そんな簡単で便利なダイエットアイテムがあれば。

 

体の脂肪だけを取り除く……

油分だけを……

 

体脂肪、あぶら取り紙を使って減らすのはどうだろう。

 

これが、今回の記事の趣旨である。

 

 

【事前準備】

あぶらとり紙(あぶらとりがみ)は、皮脂などを取るために用いる、化粧用の和紙。もともとは金箔の製造時に用いる箔打紙雁皮紙)の再利用品である

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 

ウィキペディアから引用するまでもなく、あぶら取り紙は油分を吸い取ってくれる紙だ。これを一定期間恒常的に用いることで、体からの油分排出の手助けをする。食事を制限して脂質の摂取量を意図して減らさずとも、排出量だけ平時を上回るペースで増やせば、その分身体に蓄積される油分は減っていく(=体脂肪率が下がる)のではないか、という寸法だ。

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イメージ
 

今回の検証を行うに当たって、2名の有識者から事前に意見を聞いた。

1人目は皮膚科のお医者さん。持病で定期的に検診を受けている先生に、一定期間とは言えあぶら取り紙をめちゃくちゃ使うことについて注意点を尋ねた。

 

f:id:iimannamii:20201212101834j:plain体質的に顔が赤くなりがちな私もあぶら取り紙を使った直後は赤みが引いていい感じなんですが、いっぱい使うのは大丈夫ですか?

f:id:iimannamii:20201212052558j:image使用については特に… 体に悪いものではないので。頻度を上げるならあんまり擦り過ぎないようにした方がいいとは思います。

f:id:iimannamii:20201212052542j:imageあぶら取り紙で体脂肪率は減りますか?

f:id:iimannamii:20201212052558j:image(笑)

 

笑われました。

2人目はお母さん。こういうのってなんだかんだお母さんが一番頼りになるからね。

 

f:id:iimannamii:20201212052542j:plainというわけなんだけど。

f:id:iimannamii:20201212102020j:plainそんなの取れば取るほどたくさん湧いて後悔するだけだからやめときなさい!

 

止められました。

まあお母さんって大抵こういうのに反対してくるから。制止に従うと検証が進まないので、今回は一旦無視することにする。

 

 

【検証方法】

・検証期間は1ヶ月。原則毎日あぶら取り紙を使用し、体から出来るだけ多くの油分を除去する。

・1週間に一度の休紙日(あぶら取り紙を使用しない日)に体重と体脂肪率を計測、記録していく。

・1ヵ月後に体脂肪率が落ちていれば検証成功。

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・使用するあぶら取り紙はあのギャツビーでNo.1の吸収力を誇るこちら。パッケージ左上に踊る「最強力!」が頼もしい。

 

 

【検証1週目】 

検証開始にあたり、基準値として素の状態での体重と体脂肪率を計測する。我が家の体重計は皮下脂肪も測定できるので、併せてそちらも記載していく。

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10月25日

体重76.7kg /  体脂肪率22.9%  /  皮下脂肪率20.6%

 

私の身長に対して、標準体重は69.7kgらしいので丁度7kgオーバーだ。測定日の夕飯はカレーで、たくさんおかわりをしたのが仇となってしまった。

体脂肪率、皮下脂肪率は共に20%超。成人男性でこの数字は「やや肥満」に該当するとのこと。1ヶ月後には健康的な値まで下がっていることを期待したい。

 

それでは、検証開始。

 

日付         使用時間  使用枚数

10月26日 18時00分 2枚

10月27日 15時30分 2枚

10月28日 14時26分 2枚

10月29日 16時47分 2枚(1.5)

10月30日 14時35分 2枚(1.5)

10月31日 15時03分 2枚

 

 

はい。

あっという間に1週間である。

基本的にあぶら取り紙を使うだけなので検証過程は数字の羅列で終わってしまう。ひとまず1週目は1日1回、2枚までの使用で留めておいた。母に言われた言葉が地味に効いている部分がある。

29日、30日の(1.5)は、あぶら取り紙自体は2枚使ったが、顔全体の油を除去しても1枚と半分くらいの面積で十分だった、という意味だ。

検証4日目で早くも排出する脂肪が減って来たのかと思ったが、6日目は普通に2枚まるまる使い切ったので、よく分からないがそういうタイミングだったのだろう。

 

1週間経過 体重測定

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11月1日

体重75.1kg /  体脂肪率22.2%  /  皮下脂肪率20.0%

《検証開始より》

体重-1.6kg /  体脂肪率-0.7%  /  皮下脂肪率-0.6%

 

減っている…?

体重についてはカレーの影響が少なからずあったと思うが、体脂肪率が普通に減っている。

まさか1日2枚のあぶら取り紙でいきなりこんなに効果が出るとは。

爆売れダイエット本を出版する未来が見えて来た。

 

 

【検証2週目】

日付         使用時間  使用枚数

11月2日   18時44分 3枚

11月3日   15時18分 2枚

11月4日   18時45分 2枚

11月5日           0枚

11月6日   21時28分 3枚

11月7日   18時10分 3枚

 

前週の最大2枚から一歩進んで、必要とあれば3枚目を使ってみることにした。

5日は仕事が忙しくあぶら取り紙のことなんてすっかり忘れてしまった。6日も引き続きかなり忙しかったが、帰宅後に意地の3枚消費。その後すぐ風呂に入ったのであまり意味はなかったかもしれない。

 

2週間経過 体重測定

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11月8日

体重75.8kg /  体脂肪率22.2%  /  皮下脂肪率20.0%

《検証開始より》

体重-0.9kg /  体脂肪率-0.7%  /  皮下脂肪率-0.6%

 

前回測定から体脂肪率は全く変化なし。コンマ1%まで変わってないのは珍しいのではないだろうか。体重のみが僅かに増加した。

日に3枚使用することもあったが、週間の使用総数で言うと12枚→13枚になっただけなので、そもそもそれほど変化が見込めなかった可能性がある。どんどん行こう。

 

 

【検証3週目】

11月9日

10時50分 1枚 / 15時20分 1枚 / 18時13分 2枚 

11月10日 12時50分 1枚 / 15時24分 2枚

11月11日 15時28分 2枚

11月12日 18時22分 2枚

11月13日         0枚

11月14日 15時22分 2枚 / 18時15分 2枚(1.5)

 

13日は再びの失念。この週から日に2回以上のペースでの使用を開始した。一度完全に拭い去っても時間が経てばわりと普通に顔へ油分が戻ってくる。

f:id:iimannamii:20201219010628j:imageそんなの取れば取るほどたくさん湧いて後悔するだけだからやめときなさい!

 

どこからか母の声が聞こえる。でも、もう後戻りは出来ないんだ。

 

3週間経過  体重測定

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11月15日

体重74.6kg /  体脂肪率22.7%  /  皮下脂肪率20.6%

《検証開始より》

体重-2.1kg /  体脂肪率-0.2%  /  皮下脂肪率±0.0%

 

意図せず体重が減った。意識的に食事量を減らしたわけではないが、昼食を食べ損ねたり雑に菓子パンで済ませたりが重なったせいだと思われる。体重が減っても蓄積された脂肪はそのままのため、相対的に体を占める脂肪の割合が増えた形になったのではないかと思う。体脂肪率を減らしたいこちらとしては不本意な数値である。

 

 

【検証4週目】

11月16日 9時56分 1枚 / 17時35分 2枚

11月17日 14時47分 2枚

11月18日 13時37分 2枚 / 16時50分 2枚

11月19日 11時40分 2枚(1.5)/ 18時5分 1枚

11月20日

7時53分 1枚 / 11時12分 2枚 / 14時58分 1枚

11月21日 11時45分 1枚

 

3週目の測定結果を受け、なり振り構わず気付いたら使うという方針を取った結果、過去最高の週間17枚を記録した。

日に3度4枚フルで使った日もあり、かなり高頻度で油分を除去したように思う。

 

4週間経過 体重測定

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11月22日

体重75.8kg /  体脂肪率21.4%  /  皮下脂肪率19.2%

《検証開始より》

体重-0.9kg /  体脂肪率-1.5%  /  皮下脂肪率-1.4%

 

嘘みたいに体脂肪率が減っている。

体重の増減が激しく±2kgくらいは誤差の範疇のようになっているが、体重増化による相対的な体脂肪率の減少ではなく、今週は全体的な減量になっているので、ダイエットとして機能している感じがある。検証の意図を考えると体重はそのままに体脂肪率だけ下がるのが理想的ではあるが、欲は言わないでおこう。

 

 

【そもそも】

検証開始から4週間を過ぎたところで、そもそも「あぶら取り紙1枚でどれくらいの油分を吸収できるのか」という根本的な疑問が浮かんで来た。そんなの最初から測っておけという諸兄のご指摘は甘んじて受け入れるとして、4週間経過時点、合計57枚のあぶら取り紙によって、これまでで一体何g、何kgの油を排出できたのか。興味が湧いてくるのは必然である。

湧いてくるといえば……

f:id:iimannamii:20201223002457j:imageそんなの取れば取るほどたくさん湧いて後悔するだけだからやめときなさい!

 

 

【実測】

というわけで検証も残すところあと3日。Amazonにて0.01g単位で計量できる精密電子はかりを購入した。

f:id:iimannamii:20201223005659j:imagef:id:iimannamii:20201223005704j:imagef:id:iimannamii:20201223005710j:image

かっこいい!

 

ここに、ひとまず開封したての真っさらなあぶら取り紙を1枚乗せてみる。

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0.11g。

1枚ずつのブレや個体差を加味し、別の個体をいくつか計測したり、複数枚同時に乗せて計測してみた結果、このあぶら取り紙は1枚で約0.115gであると、おおよその見当がついた。

 

次に、このあぶら取り紙が油を含んだ場合の重さを測定する。

いつも通り普通に顔を拭っても良かったが、あぶら取り紙に吸われた状態とはいえおじさんのリアル皮脂の写真を一体誰が見たがるのかという思いもあり、今回は手の甲に薄くラードを塗って、それを拭うという妥協案を採用した。

擬似的に作り出した“使用後”の1枚を、早速精密はかりに乗せてみる。

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0.16g。

すごい。ちゃんと重くなっている。

こちらも真っさらなときと同様に何度か試行してみたが、肌を拭うという形であれば、十分に油分を含ませたとしても重さは最大で約0.175gほどに落ち着くという結論に達した。

こうして測定した“使用後”と“使用前”の重量差が、1枚あたりの油分吸収量になる。

 

0.175−0.115=0.06。

 

あぶら取り紙1枚で吸収できる油分は、0.06g。

この4週間で使用したあぶら取り紙の枚数は先述した通り57枚。掛け算をしてみよう。

 

0.06×57=3.42。

 

つまり私はこの27日間で、3.42gもの脂肪分を、いつもより余計に体から排出できたわけである。

 

 

 

【最終週】

11月23日

10時2分 1枚 / 12時20分 1枚

14時15分 1枚 / 16時58分 1枚

11月24日 14時20分 2枚 / 16時5分2枚

11月25日 16時10分 2枚

 

最後の3日で10枚使用した。1ヶ月計67枚。

1枚あたりの正味の吸収油量の計算をしたいま、今更10枚増えたところで、という感じは否めないが、4週終了時点でのリードもあることだし、このまま有終の美を飾りたいところである。

 

 

最終週 体重測定

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11月25日

体重75.4kg /  体脂肪率23.5%  /  皮下脂肪率21.3%

《検証開始より》

体重-1.3kg /  体脂肪率+0.6%  /  皮下脂肪率+0.7%

 

 

いや最後の最後で増えるんかい

もういいわ ありがとうございました

 

 

 

【おわりに】

というわけで、検証は失敗に終わった。

あぶら取り紙だけで体脂肪率を減らすのは不可能だったのだ。

だいたい57枚で3.42gって何だ。コカイン?

 

検証開始時点の体重76.7kgで、体脂肪率1%あたりの脂肪の重量を計算してみると

7670×0.01=76.7(g)。

今回、1ヶ月間毎日頑張ってあぶら取り紙で排出した油は4.02gだった。

成人男性の健康的な体脂肪率の目安は10〜19%とのことなので、22%から3%減らして19%にするとして、必要な削減量は

76.7×3=230.1(g)。

あぶら取り紙だけでこの脂肪分を全て吸い取るとすると

230.1÷0.06=3,835(枚)。

 

4,000枚のあぶら取り紙を一気に使えば、まだ可能性があるのかもしれない。

今回私は目標にたどり着けなかったが、この記事を目にした、まだ見ぬ未来のあぶら取り紙体脂肪カッターにこの数字を託そうと思う。

  

 

【結論】

 

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最後までお付き合い頂きありがとうございました。

次回「金箔入りのお酒を何升飲んだら胃の中に金の延べ棒ができるのか」でお会いしましょう。

さようなら。

アメリカの女子高生が早起きして片思いしてる男の子と一緒にトンボの羽化を見る話



美容室で昔のジャッキー・トニー・ショーの再放送が流れています。

テレビの中で尻に電撃を浴びたり唐突にびしょ濡れになったり意地の悪い言葉でいじり倒されているコメディアンたちを見てなんとなく下に見ていたけれど、高校生になってからテレビに出られているだけでも、彼らには一握りの輝かしい才能と運が備わっているということが分かりはじめ、何だったら1回の放送で父が1ヶ月頑張って働いたのと同じくらいのお金を貰っているらしいことを知って、急に心がひやりと冷えてしまったのでした。


🕑

母から裏庭の草むしりを頼まれて渋々やります。一夏放っておけばこうなるだろうな、と想像していた倍以上の雑草が繁っていて目眩がします。

9月半ばになっても日差しは夏のままで、背中にTシャツが張り付きます。青い匂いが鼻に抜けます。屈んだ拍子に汗が目に入り、痛みで動けなくなりました。コンタクトをしているとたまにこういうことがあります。でも眼鏡は似合わないから絶対にしたくないのです。

休憩を挟みながら2時間くらい、目に付く雑草を抜き続けると裏庭は次第に殺風景になってきました。両手いっぱいに抱えても、少なく見積もってガーベイジに3往復はしないと捨てきれないくらいの草の山が、視界の隅にそびえています。
種が飛ぶため、本当なら抜き終えた雑草はすぐにゴミ袋に入れた方がいいのですが、今日はちょっと疲れたのでやめておきます。


部屋に戻って、軍手を軽く手洗いして洗濯機に放り、シャワーを浴びます。
身体を拭いて、下着のまま台所へ行き、立て続けに水を2杯飲みます。コップを濯ごうとしたとき、顔の辺りにくすぐったいような違和感を覚えます、髪の毛かな?

しかし、何度か手で払ってみてもなかなか取れず、少し粘つくような、これはもしかして。
洗面所に向かい鏡の前に立ち、iPhoneのライトを点けて下から自分を照らします。目を凝らすと、人工の光を吸った一筋の細い糸が顔から肩の辺りに掛かっているのが分かります。

アヤツリグモの糸です。

洗面台に水を張り、ゆっくりと糸を浸します。重曹をひとつまみ入れて2分待ち、水を入れ替えます。水中で糸を撫でて、真っ直ぐに整えます。その後、水から引き揚げた糸をキッチンペーパーの上で陰干し。室内でも気温が高いので結構早く乾きます。1時間くらい。


🕔

アヤツリグモは特殊な蜘蛛で、私たちはなかなかその姿を目にすることがありません。路地裏や藪、古びたガレージなど、一般的に蜘蛛の生息していそうな場所には、彼らはいません。

家の中でごくたまに、別に巣があるようなところにいった覚えはないのに、ふと顔や腕に蜘蛛の糸がかかっているような気がすることはありませんか? そんなときは大抵、アヤツリグモの糸が空中に漂っているのです。

今回もしや、と思ったのも、シャワーを浴びてすっきりした矢先のことだったから。
陰干しして十分水気の取れた糸を、キッチンペーパーごとそっと持ち上げて、2階の自室に運びます。勉強机の真ん中の引き出しには同じような糸がもう8本しまってあります。
これで、全部で9本。集め始めたのは4年前の7月のことですから、半年に約1本のペースでやっとここまできました。

重曹で洗って補強してあるので、滅多なことでは切れませんが、念のためセロテープでなくマスキングテープで端を机にとめて、3本を三つ編みにしていきます。強度はあっても単純に見えにくいので、手元はiPhoneのライトで強く照らします。銀色の光の筋を、外から内へ、外から内へ、丁寧に編み込んでいきます。

こうして出来た3本の三つ編みを、最後にもう一度三つ編みにして、一本の太い糸にしていきます。階下から母に呼ばれます。いつのまにか夕飯の時間になっていました。


母お手製の巨大なミートローフをやっつけて、作業の続きに取り掛かります。9本の蜘蛛の糸で編まれた糸は、流石に強い光源に頼らずとも、肉眼でちゃんと見えるようになります。

長さが少し足りないので糸を挟んだ掌を強く擦り合わせます。目指すは錦糸のような細やかさ。長さにして、大体1.5メートルくらいになったら伸ばすのをやめます。片方の糸の先を温度計の先に軽く巻きつけ、もう片方を指の先でつまみます。目盛りがすぐさま32℃を示します。
成功。静かな興奮が胸の内に湧き上がるのを感じます。

エリオットに送信する文面を考えます。
“やほ! 夕飯何食べた〜?”
軽すぎますね。
“夜分すみません、今よろしいですか”
堅すぎる。間を取ります。
“こんばんは! 今何してる?”
これくらいでいいでしょう。
エリオットからすぐに返信があります。
「風呂から上がったとこ カージナルス戦見てる」
野球のことはわからないので、用件だけ端的に伝えます。
「“糸”、さっき完成したから、よかったら明日羽化を見に行かない?」
「嘘! マジ? 絶対行く」
「じゃあ、湖畔広場の入り口で。朝4時半に」

デートが決まりました。
早起きに備えて、私も早くシャワーを浴びて寝ないといけません。


🕟

結局なかなか寝付けずに寝坊して、湖畔への到着は集合時間ぎりぎりなってしまいました。
広場の入口に自転車にまたがったままのエリオットが待ち構えています。
「遅いぞー」
「ジャスト・オン・タイムでしょ。遅刻はしてない」
「“糸”見せてよ。まさか忘れてないだろうな」

エリオットは、私が髪を切ったことに気づきませんでした。でもいいのです、私も自分の新しいヘアスタイルより、アヤツリグモの編み糸を見て欲しかったので。鞄から、編み糸を巻きつけた厚紙を取り出してエリオットに手渡します。

「ワーオ、すごい、こんなに綺麗なんだ。シルクみたいだ」
エリオットの目が輝いていて、私も嬉しい。
あとはこの糸が、ちゃんと機能してくれれば申し分ありません。


🕷

「アヤツリグモは普通の蜘蛛とは違い、巣を張りません。かといってハエトリグモやアシダカグモのように俊敏な動きで餌を捕らえるのでもなく、彼らは、名前の通り他の昆虫を操ることで捕食を行います。

アヤツリグモの糸は他種の蜘蛛の糸と同じく、腹部の先にある穴から出てきます。長く伸ばした糸を空中にたなびかせ、或いは地面に這わせて、先端を対象の昆虫に付着させることで、彼らはその体を支配します。

昆虫の体の側面には呼吸を行う為の気門があります。アヤツリグモは、腹部で作り出した特殊なホルモンを糸に伝わせ、気門を通して昆虫たちの運動神経に干渉するのです。

アヤツリグモはその糸の精製に不可欠な、清潔な水のある場所を好みます。ヒトの居住域で稀に彼らの糸が発見されるのはその為です」


🕷

家にあった古い昆虫図鑑で初めてこの記述を目にしたとき、私は大層がっかりしました。というのも、糸で操る、というイメージが先行して、アヤツリグモはマリオネット屋さんのように陽気な感じなんだろうなと、勝手に想像していたからです。

「あ! それ俺も思ってた」
エリオットと初めてちゃんと会話をしたのは、4年前、中学校の教室に大きな蜘蛛が出た日のことでした。
担任のマール先生が悲鳴をあげながらなんとかそれを退治するのを見届けた後、友人たちとの間で、ふとアヤツリグモの話題になったのです。私が先述した幻滅について話すと、傍で聞いていたエリオットが会話に割って入って来ました。

「絵本で読んで、ずっと操り人形師みたいな感じだと思ってたんだけど、一回おじいちゃんが捕まえたの見せてもらったら、全然違って。かなりショックだったな」
その後、落ち込んだ孫を励ますためか、エリオットのおじいさんは幼いエリオットにこんな話をしたのだそうです。

「アヤツリグモの糸を束ねると、人間も虫を自由に動かせるようになる。糸の片方の端を虫の腹に結んで、もう片方を人が掴むと、意図が糸を伝って、虫に届く」

そんなまさかね、と、その時はみんなで笑ったのですが、後からちゃんと調べてみると、それはあながち嘘でもないらしく、アヤツリグモが今よりもっとたくさんいた30年ほど前には、編み糸を用いた虫のサーカスが全米にいくつも存在していたのだそうです。

実は私も、アヤツリグモの糸に関しておばあちゃんから別のお話を聞いたことがあったのですが、その時はなんとなく、周りのみんなには言えずじまいでした。


🎪

もしも自由に虫を操れる糸があったとして、なんの虫に括り付けるのが最もエキサイティングでしょう。
ビートル? クワガタ? 大きな甲虫は動きがのっそりしていてつまらない気がします。バッタ? カマキリ? 蝶々? どれもピンと来ません。

「トンボ、良くない? ほら、ドローンみたいで」
エリオットの提案です。晩夏の湖畔を滑るように飛ぶ大きなギンヤンマ。直角に曲がる、急停止、ホバリング。その飛行能力で虫網を易々とかいくぐる彼らを自由に使役することができたら、どんなに楽しいでしょう。

「でもトンボ、なかなか捕まえられなくない? 糸をお腹に結ばないといけないんだよね」
「羽化の直後を狙えばいいんだよ」
「なるほど……」

こうしてこのとき私とエリオットは、いつかアヤツリグモの糸を集め、水辺で羽化したてのトンボを操る約束を交わしたのでした。


🕟

夜明け前の澄んだ青が空気を満たしています。エリオットがリュックから懐中電灯を取り出し、辺りを照らします。

トンボの幼虫、ヤゴは最後の脱皮の時期になると、長く住み慣れた水中から抜け出し、水面に突き出た背の高い木の枝や水草によじ登ります。羽化をする彼らを見つけるには、湖面から数十センチの高さの水草を眺めると良いのだそうです。

「もっとうじゃうじゃ居るもんだと思ったけどな」
「時期が遅すぎたのかもね」
「あ」
エリオットが指差す方を見ると、一匹の大きなヤゴが水草にしがみつき、体を静止させています。
「抜け殻じゃないよね」
「違う、微妙に動いてる、気がするけど、どうだろう」

私はこれまで、羽化といえば蝶々か蛾の、しかも学校の教材ビデオで見た早送りのものしか見たことがなかったので、目の前のリアルな光景は逆にコマ送りを見ているような気分になりました。

背中に入った縦の筋がじわじわ濃くなり、そこから薄く、透明な緑色をした成虫の、大きな目が覗きます。ヤンマは大きく体を反らしながら、頭、しわしわの羽、胸、と順番に抜け出し、あるところまでくるとゆっくり体を起こします。
6本の腕で灰色の半抜け殻を掴み、小刻みに震えながら、一息に引っこ抜くみたいに長い腹を露わにします。
エリオットが深い深いため息をつきます。

「出てきた……」
出てきたね、と私も思いますが、空気の震えがヤンマに伝わるような気がして、何も言えません。

家を出るとき辺りは真っ暗だったのですが、朝日のほんの端っこが遠い山合いから覗いた途端、眼に映る風景全てがにわかに鮮やかに色づき始めます。
湖畔に根付く背の高い葦たちは、息を吹き返したかのようにその緑色を濃くし、胸を張っています。湖面に乱反射した陽光が、視界をまだらに焼きます。

ヤンマの方はというと徐々に羽が伸び切り、半透明だった体がゆっくりと色づき、輪郭がしっかりしてきます。ギンヤンマ、全然銀色じゃないな。
青と緑が混ざった色をしている、確かな輝きがある、もしかしたらこの体に一色でも黄色や、オレンジ系の暖色が差してあれば、もしかしたらキンヤンマと呼ばれていたかもしれない、など、取り留めのないことが頭に浮かびます。


40分、もっとでしょうか。私たちはヤンマの羽化に釘付けになっていました。明け方のマジックアワーと昆虫の羽化という神秘が重なって身動きが取れなくなっていたのです。
危うく目的を忘れてしまうところでした、エリオットの脇腹を強めに肘でつつきます。

「エリオット、糸、糸」
エリオットは一瞬ハッと我に帰りますが、そのまま難しい顔をして言います。
「やっぱやめとこうぜ」
え〜?
「せっかく早起きしたのに!」
思わず語気が強くなります。

そのとき、私の声を合図にしたのか、それとも偶然か、羽化したてのギンヤンマは音もなく羽を動かし、私たちの視界からすっと消えます。急いで視線を動かすと、その美しい蜻蛉はもう遠くで風を切っています。遠目で見ると確かに銀色に見えないこともないな。

「ほら、飛んでっちゃったじゃない」
エリオットを咎めます。
「いや〜、でも最初から最後まで羽化見ちゃうとさ、いきなり自由を奪うの無理じゃない?」
確かに……。
「でも…… 羽化直後を狙うのはエリオットの案だったでしょ」
「うん、でも無理だった。というか、ちゃんと羽化見ちゃうと、これから虫網でトンボ捕まえるのもちょっと躊躇するな」

エリオットの言わんとすることは分からないでもありません。つい数分前まで目の前で起こっていた儚く、しかし力強い命の営みは、確かに何人たりとも彼らの自由を奪うべきではない、そんな気持ちにさせられる光景でしたから。

でも、その編み糸作るのに4年も掛かったんだけどな。せっかくだし、いつかおばあちゃんから聞いたアヤツリグモの糸のお話を試してみることにします。

「エリオット、糸返してくれる? あと指、貸して」
怪訝な顔をするエリオットを尻目に彼の薬指の第一関節に糸を結びます。もう片方の糸の端っこを持って念じます。

…………。

「何これ?」
「何も感じない?」
「感じないな」
「そっか」

残念ながら、どうやらおばあちゃんのお話は迷信だったようです。アヤツリグモの糸を介せば、人間にも自由に思いを伝えられる、という話だったのですが。いや、ちゃんと伝わったところで恥ずかしいんだけど。

「そういえばさ、髪切った?」

まあ、今日のところはこれくらいで良いかな、と思います。

クラクション

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細い路地で道を譲ってくれた軽四に対し、おじさんはハンドルの中央を撫でるように2度叩いた。スタッカートの効いた、鼓膜に快く弾むクラクションの音は確かに「ありがとう」と響いた。
「おじさんのクラクション、喋ってるみたいだ」
僕が思わずこぼすと、おじさんは前方を注視しつつ、穏やかにハンドルを操作しながら言った。
「それは最高の褒め言葉だな」

おじさんの運転する車の助手席に乗ったのは片手で数えられるほどしかないが、思えばおじさんはいつもどこかのタイミングでクラクションを鳴らし、そのどれもがそれまで聞いたことのない響きをしていた。
「どうやったらそんなクラクションを鳴らせるの?」
いつかのドライブ中、おじさんにそう尋ねたことがあった。スーパーの駐車場から車道へ出てこようとするワゴン車への「どうぞ」のクラクションが、余りに「どうぞ」過ぎたからだ。
「俊ちゃんはこの前もおじさんのクラクションを褒めてくれたね。運転しながらだとちょっと説明しづらいな、コンビニに寄ろうか」
おじさんはセブンイレブンでアイスコーヒーを買ってくれた。ブラックコーヒーは苦すぎて飲めないのでクリームとシロップを2つずつ入れたら笑われた。イートインスペースがいっぱいだったので車に戻り、ドアの窓を全開にして2人でコーヒーを啜った。夏になる前の暑すぎない日の光が僕らの顔の半分を照らしていた。

「クラクションってのは、ハンドルの真ん中のクラクションバッグを押す強さと長さで音色が変わる。まあウィンカーやドアミラーと同じ自動車の部品だから、いくら強弱がつけられるといっても、もちろんトランペットのように繊細じゃない」
うん、う〜ん。まだ苦いな〜。2つずつじゃ足りなかったな〜。
「でもね、音の強弱とタイミング次第で、そこに“心”を乗せることができる」
「心?」
テクニックの話じゃなくて精神論なのか、もしそうなら少し残念だな〜。
「今ちょっと胡散臭いな、と思っただろ。俊ちゃん、大人にはそういうの表情で大体わかるからな。でも、そうとしか言いようがないんだよ。おじさん、免許取り立ての頃、クラクション鳴らすときめちゃくちゃ色々考えてたんだ、タイミングとか、強さとか、長さとか」
おじさんはコンビニの中の時点ですでに半分くらい減らしていたコーヒーを一気に飲み干そうとしていた。ズズッ、ストローの先が空気を巻き込む音がした。
「でも、結局考えた分遅れるし、力むんだよ。全然思った通りの音が出ない。だから、何も考えないようにした。クラクションは、気持ちが動いたときに、反射で鳴らすんだ。
割り込みさせてくれてありがとうなら感謝の念が湧いた瞬間。おい今の危ねえだろ、なら抗議の念が湧いた瞬間。その刹那にハンドルの真ん中を叩くんだ、すると──」

“おっ久しぶり!”

おじさんがいきなりクラクションを鳴らした。コンビニの前に設置された灰皿の横で、今まさに煙草に火をつけようとしていた知らない中年男性が、驚いた顔でこちらを見ていた。
「知り合いだ」
おじさんは車から飛び出し、中年男性と何やら親しげに会話をしてから戻ってきた。おじさんが言った。
「急にすまなかった、ところで俊ちゃん、さっきのクラクション、なんて聞こえた?」
「いや、めちゃくちゃ“おっ久しぶり”って聞こえたんだけど…… えー? ちょっと気持ち悪いな」
信じられなかったが、ただの“久しぶり”ではなく、しっかり“おっ久しぶり”と聞こえたのだった。クラクションの音なのに。
「ちゃんと“おっ久しぶり”と思った瞬間に鳴らしたからな。そう聞こえただろ」
「え〜? マジで?」
「マジマジ」
マジか〜。こんなこと本当にあるんだな。
「じゃあさ、おじさん、タンバリンとか、打楽器もめちゃくちゃ得意なんじゃないの? 音だけでそれだけ表現できたらすごいじゃん」
おじさんは悲しそうに首を振った。
「駄目、おじさんリズム感全くないから。得意なのはクラクションだけ」
マジか〜。

おじさんは母さんの妹の旦那さんだったから、両親が離婚して、僕が父親についていくことになってから全く会わなくなった。平成から元号が変わった2年後の話だ。もう20年以上前のことになる。
この、おじさんのクラクションのエピソードが果たして僕にポジティブな影響を及ぼしたか? (例えば「クラクションは心で鳴らせ」とか分かりやすいコピーでもって、思い立ったが吉日とか、善は急げみたいな意味合いの教訓として、人生に刻まれたか)というと、残念ながらそうでもない。

車の免許を取ってから、自分でもおじさんの真似をしてみたけど、全然駄目だった。ほんと、全然。いくら叩いてもクラクションの音はクラクションの音で、やっぱり、何にでも才能ってものがあるのだろう。
もっとも、最近は自動運転ばっかりでクラクションを鳴らす機会自体、滅多にない。道を譲るのも、割り込みのタイミングも全て機械に制御されているし、万が一危なくなれば勝手にアラームが鳴る。今時、手動クラクションが標準装備されてる自動車の方が少ないんじゃないかと思う。

一昨日、弟の妻のお腹に赤ちゃんがいることがわかった。順調にいけば来年の5月には生まれてくるそうだ。弟たち夫婦は結婚して5年目で、不妊治療もしていたらしいから、喜びも一入だったのだろう。滅多にしてこない電話でその旨を伝えてくれた。声の弾み方で、静かに興奮しているのがわかった。

生まれてくる甥にはまず五体満足で、健やかにこの世に降り立ってほしい。そして、もし才能というものがあるなら。
どうか、何か役に立つものを持って生まれて欲しい。

おじさんのクラクションは確かにすごかったけど、時代に、技術の進歩に、淘汰されてしまった。
せっかく天から賦されるなら、もっと、こう…… なんというか、ね?

なんて、おじさんには口が裂けても言えないんだけど。

スシ・プライド

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私の父はスシ職人で、私は幼い頃から父が「スシ・プライド」という言葉を使うのを聞いてきました。父の作るカリフォルニア・ロールはとても美しく、お客さんからどうしてそれほど綺麗に仕上げられるのか、と訊かれると、父は決まってこう答えるのでした。

「私のカリフォルニア・ロールには、アボカドやサーモンだけじゃなく、私のスシ・プライドも一緒に巻いてあるからね」

 

父の大きな背中と細やかな仕事ぶりを間近で見ながら育った私が、スシ職人を目指すことになったのはごく自然な流れといえます。

父は独立前、日本出身のエドマエの職人から直接スシの技術を学びましたが、本場日本の地でスシを食べたことはないのだそうです。

深酒をした夜など、父はよく、遠い目をしながらこう言いました。

「日本にはきっと本当のスシ・プライドがあるのだろうな」

父のスシは本物です。しかし、本当のスシ・プライドは、その技術とはまた別の場所にあるのだと、父は考えているようでした。

 

アメリカには、日本を母国としなくとも素晴らしいスシを創り出す、父のようなマイスターがたくさん居ます。

今やスシの“七星”の一人に数えられるアラナシ・キノウエ氏は父の修行時代からの友人で、私の名付け親ということもあり、私がスシの道へ進もうとしていることを知ると、真っ先に声を掛けてくれました。

「もし父上の弟子になるつもりがないなら、私の職場で基礎を学んでみてはどうかな?」

カウンターに立つ父を漠然と眺めていた私にとって、超一流の現場でのスシ修行はとても魅力的でしたが、しかし、私はその誘いにどうしても乗ることができませんでした。なぜなら、私の中には最初から、日本で修行することへの熱意が燃えていたからです。

父の言う、日本の、本当のスシ・プライドが一体どんなものなのか。

それを、心の底から理解するために、私自身はなるべくアメリカのスシに染まっていない、まっさらな状態の方が良いと思ったのでした。

 

18歳を迎える誕生日の朝、私が日本での修行の展望について語ると、父は思いがけなくとても喜んでくれました。

「アキラ、日本のスシ・プライドを、きっと自分のものにするんだ。

何年掛かっても良い、それを手にして帰って来たら、私に修行をつけてくれ。私はそれまで、私の店を守ることを誓おう」

父は私の手を取り、その両手でしっかりと包み込みました。

それは分厚く温かく、ああ、これがスシ職人の手なのかと、私は思いました。

 

日本での修行先はアラナシさんが選んでくれました。

「鮨喜田」は、かつてアラナシさんがスシを学んだお師匠のお店で、エド時代から続く由緒あるスシ・レストランです。

アラナシさんは鮨喜田の四代目店主の兄弟子にあたり、私の修行について、わざわざ直筆の手紙をPDFファイルでメールして、話をつけてくれたのでした。

 

日本への出立の日、父は空港で、私に包丁を手渡してくれました。

それは背の部分に“アキラ・ハイビスカス”と彫られた、美しい刺身包丁でした。私の名前はアキラ・マーズバーグであり、父の名はピーター・マーズバーグであり、別に私たちの一族が南国をルーツにしているわけでもなく、ハイビスカスは全く関係がありません。

なぜ本来苗字が彫られているはずの位置に南国の花の名前が? とは、訊けませんでした。

 

人生の中にはそういう開け広げな質問をするのが相応しいタイミングと、そうでないタイミングというのがあって、日本への、何年掛かるか分からないスシ修行へ向かう直前というのは、どちらかというと後者の雰囲気だったからです。

もしかしたら、スシ職人の間では、門出の日に職人の名前と花の名前を併記した包丁を贈るのが常識なのかもしれません。私が知らなかっただけで、私の真のファミリーネームはハイビスカスだったのかもしれません。

 

ただ、その、特徴的な名入れが施された包丁は抜き身だったので、国際線のセキリュティゲートで即座に没収されてしまいました。

今考えると、父が鞄から、刃渡り25センチの抜き身の包丁を取り出した時点で係員に取り押さえられなかったのは、非常に幸運だったと思います。

 

腑に落ちたり、ものごとが順序よくおさまったエピソードよりも、あれ一体なんだったんだろうな、と思うような出来事の方が、根深く記憶に残ることがあります。

 

怪談も、「後になってわかったのですが、そこはかつて処刑場だったということです……」なんて終わり方をするものより、意味のわからない恐怖がいきなり降ってきて、意味のわからないまま終わるものの方が、寝る前に思い出して、眠れなくなったりしませんか?

 

その点、この父の刺身包丁の、ハイビスカスの名入れから即没収のくだりは、今でも私の中に、歪な形の染みを残しています。

日本についてからも、あれ、マジでなんだったんだ? と考えて、何度か眠れなくなったくらい。

まあ、今ではそれもいい思い出なんだけど。

サイコクラッシャーで出張に行きたい

 

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【はじめに】

 

私はサラリーマンをしている。

早速だがサラリーマンと聞いてみなさんは何を想像するだろうか。スーツにネクタイ? 名刺? いいえ。サラリーマンと言えば、そう、出張ですね。

 

ご多分にもれず、私もサラリーマンの端くれとして月に一度ほどの頻度で東京へ出張に出ている。自宅から空港への便があまりよくないので大抵の場合新幹線を利用しているが、岡山から東京まではかなり時間がかかる。そしてあの、在来線乗り換え。東京、〇〇線が多すぎない? というか人間がそもそも多すぎない? よくて15分に1本、最悪1時間に1本しか電車がやって来ない岡山と比較すると、その煩雑さは数十倍にも感じる。

面倒な手順を踏まず、顧客の元へ直接赴きたい。できればカッコよく、ズバーッと出張したい。ズバーッと、直接……

 

出張、サイコクラッシャーで行くのはどうだろうか。

これが、今回の記事の趣旨である。

 

 

【サイコクラッシャー】

 

本題に移る前にサイコクラッシャーとは何かを説明しなければいけない。ピクシブ百科事典から引用する。

 

格闘ゲームストリートファイター』シリーズの登場人物『ベガ』が使う必殺技。

概要

全身にサイコパワーを纏い、相手に突っ込む技。厳密にはサイコクラッシャーという名前の技は『ZERO』以降のスーパーコンボで、それ以前は「サイコクラッシャーアタック」という必殺技だった。 後の作品では、更に強力なサイコパワーを纏った「メガ・サイコクラッシャー」、ベガワープで姿を消した直後に画面全体を薙ぎ払う「ファイナルサイコクラッシャー」などの上位版も登場した。”

 

格闘ゲームの金字塔、ストリートファイターシリーズに登場する悪の親玉、ベガの必殺技。それがサイコクラッシャーである。

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ベガ

 

紫や緑色をしたサイコパワーで全身を覆い、横回転しながら地面と水平に飛び、敵に突っ込む。同シリーズにおけるリュウ波動拳春麗の百裂脚などに並ぶ、キャラクター性を象徴する必殺技だ。

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ストリートファイターⅡのサイコクラッシャーアタック

 

 

【検証】

 

サイコクラッシャーで、ズバーッと、一気に出張する。

というわけで、顧客の元へ遅刻することなく訪問するために、岡山→東京間をサイコクラッシャーで移動する際の所要時間を計算したい。

 

検証はプレイステーション3用ゲームソフト「ウルトラストリートファイターⅣ」(以下、ウル4と表記)で行う。

(同シリーズの最新ナンバリングタイトルは「ストリートファイターⅤ」であるが、あいにく手元にウル4しかないため、ひとつ前のタイトルでご了承頂きたい)

 

また、到着後に行う商談のことを考慮すると、営業マン本人がサイコパワーを纏った状態で客先に突っ込むのはできるだけ避けたいところ。というわけで、今回は桃白白の石柱飛ばしのように、ベガに乗って移動することを前提に検証を行っていきたいと思う。問題は技発動の際、足場としてのベガ自身の回転をどうするかだが、そこはサイコパワーでなんとかしてもらうこととする。

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【肩幅の計算】

 

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まずベガの肩幅を算出する。Wikipediaによると、ウル4におけるベガの身長は182cm。

成人男性の平均肩幅は身長×0.24で割り出せるそうだ。

 

182×0.24=43.68(cm)

 

Wikipediaにはベガのスリーサイズも載っている。バスト129cm、ウエスト85cm、ヒップ91cm。めちゃくちゃごつい。明らかに平均以上だ。このガタイで肩幅43.7cmというのはあまりに小さすぎる。バストが約130cmということは半径65cm。二の腕の太さが約40cmとして半径20cm。

 

65+20+20=105(cm)

 

肩幅1m5cm。平均の2倍以上とかなり大きいが、肩パッドもあるし大体こんなものだろう。

 

 

【サイコクラッシャーの移動距離】

 

肩幅が割り出せたので、ここからサイコクラッシャー1回分の移動距離を測定する。ストリートファイターの必殺技は発動時に押すボタンによって、リーチや威力を大・中・小の3種類に使い分けることが可能だが、顧客に「今日はどうやって来られたんですか?」と尋ねられた際、「サイコクラッシャーの、(小)で来ました…」などと返答するのは大変失礼にあたるため、当然ながら検証は(大)で行いたいと思う。

 

 

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…!

 

 

ご覧の通り、サイコクラッシャー(大)は一発で画面の端から端までを移動することが可能である。

今回この記事はスマホで作成しているが、スマホに定規を当てての実測値は画面の端から端まで55mm。そして、ベガの肩幅の実測値は9mmであった。

ベガの肩幅が105cm(=1050mm)として、比率計算でサイコクラッシャーの移動距離(Y)を求める。

 

9×Y = 55×1050

Y = (55×1050)÷9

Y = 6416.6666…(mm)

 

これで、サイコクラッシャー(大)の一発の移動距離は、約6.4mである、ということが分かった。

 

 

【時速の計算】

 

画面左端でサイコクラッシャーを発動し、画面右端まで到達する時間を複数回ストップウォッチで測定したところ、多少のばらつきはあるが、大体0.55秒〜0.70秒に収まる結果であった。10度の試行の平均値が、約0.62秒。サイコクラッシャー大の移動距離は約6.4mだから、

 

6.4mを0.62秒 で進む

64mを6.2秒 で進む

640mを62秒 (=1分3秒)で進む

 

つまり、分速621m。

サイコクラッシャー(大)は、時速37.26km である。

 

時速……

 

37.26km…………?

 

 

【タメ時間の計算】

 

ご存知の通り、サイコクラッシャーはタメ技である。

ご存知でない方にざっくりと説明すると、格闘ゲームの必殺技には大きく分けてコマンド技とタメ技の二種類があり、一瞬のレバー操作+パンチorキックボタンで即座に発動できる技が前者、キャラクターの向いている逆方向(後ろ)にレバーを一定時間倒した後、キャラクターの向いている方向(前)にレバーを倒し、同時にパンチorキックボタンを押すことで発動する技が後者、という感じになっている。

 

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コマンド技の代表例、波動拳コマンド

 

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対して、タメ技(パンチボタン)のコマンド

(共にキャラクターが右向きの場合)

 

つまり、県境をいくつも跨いで長距離移動するサイコクラッシャーを発動するためには、それ相応の「タメ時間」が必要になるというわけだ。

出張の所要時間を計算するためには、当然技発動の準備にどれくらいの時間を要すかも把握しておかなければならない。

 

ウル4における必殺技のタメ時間はそれぞれ一定に決まっている。サイコクラッシャーに必要なタメ時間は55F(フレーム)だ。

この耳慣れないF(フレーム)という単位はいわゆるビデオゲームの内的処理における最小時間単位で、1秒が60F、つまり、1Fは0.016秒になる。

 

55×0.016= 0.88(秒)

 

6.4m進むのに、タメ時間だけで0.88秒かかる計算である。もちろん、出張の際に6.4mずつタメを挟むわけにはいかないので、今回のサイコクラッシャーは、長時間タメればタメるほど、その分長距離の移動が可能であることを前提としたい。

 

1000÷6.4 = 156.25

156.25×0.88 = 137.5(秒)

 

1km進むのに、156.25回分のサイコクラッシャー(大)の発動が必要になり、タメ時間は137.5秒。約2.3分である。

 

 

【所要時間の計算】

 

いよいよ総所要時間の計算に入る。

まず、岡山から東京までの距離は、Googleマップによると

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658km。高速道路をノンストップで飛ばしても8時間の道のりである。

 

1kmにつき約2.3分のタメ時間が必要だから、

658×2.3 = 1513

1513分 = 25.22時間

 

サイコクラッシャー発動までに、丸1日と1時間13分。

 

そして、サイコクラッシャーを発動したベガに飛び乗って、658kmの道のりを、時速37.26kmで進む。さて、ベガとサラリーマンがクライアントの元に到着するまでに、一体どれくらいの時間がかかるでしょうか。

 

距離 ÷ 速度 = 所要時間

 

658 ÷ 37.26 = 17.65

 

17.65時間 = 17時間39分

 

 

【結果発表】

 

岡山からサイコクラッシャーで東京に出張に行くと、

 

25.22時間(タメ時間)+17.65時間(移動時間)

 

合計 42.87時間

 

=  42時間52分かかる。

 

 

【結論】

 

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以上です。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

次回、「エドモンド本田のスーパー頭突きでお花見に行きたい」でお会いしましょう。

 

 

(3月2日追記)

この記事でオモコロ杯2020銅賞を頂きました〜  

イェ〜イ

ししゃもについて

ししゃもを、心の底から美味しいな~と思いながら食べた記憶がない。

ししゃも漁に従事されている方、ししゃもの流通、販売に携わっていらっしゃる方には大変申し訳ないが、ふと「今日はししゃもを食べたいな」と思ったことがない気がする。
例えば居酒屋でメニューにししゃもの焼いたやつがあったとして、お、良いね、10匹くらい頼んじゃおうかな、とは思わない。今日はまあ、わざわざ頼まないでもいいかな、と思う。
今日は、というか、毎回そう思うので、結果として、永劫ししゃもを注文する機会は訪れない。

子供の頃は給食に出てきていたので、否が応にも定期的にししゃもを口へ運ぶタイミングがあった。
思うに、この、給食で供されたししゃもが曲者だったのではないか。
給食のししゃもは、まず、かなりの確率で冷え切っている。彼らは銀の缶かんみたいな容器に入って教室にやってくる。そして、給食係にトングで一人2匹ずつ配膳される。その過程でもう、完全に、冷え切っているのです。なんなら、夏場でもなんかちょっとヒヤッとしていた気がする。
夏にししゃも出てきてたかな? 覚えてないけど、でも、かなりそんな感じがするだろう。

冷え切っている食べ物が美味しいのは、それが冷やされることを前提として作られているか、能動的に冷やそうとせずとも、味が濃かったりして、冷えても偶然喫食に耐えるものであったかの二通りである。言うまでもないが、ししゃもは、そのどちらでもない。

同じ小魚でも揚げたてのワカサギなどは想像するだけで、あら、いいですね~と思えるのに対し、給食のししゃもは、どこかへ目を逸らしたくなる。この違いはそのまま温度の違いだ。
給食で出てくるのが、焼きたてほかほかのししゃもだったら。
今抱いているししゃもへの印象は、全く違うものになっていたかもしれない。

嘘です。
今まで食べて来た全てのししゃもがほかほか焼きたてだったとしても、多少良い方向に変わっていた可能性はあるものの、大筋としての印象は変わらなかったと思う。居酒屋でも注文しない。
ししゃもには温度以外にもたくさん相容れないポイントがあるからだ。

まず、ししゃもは大抵子持ちだ。あれが良くない。
身の部分と卵の部分、どちらが良いかと問われると、まあ卵の方かな~、とは思う。というか、ししゃもに身ってある? どう? なんか、頭からしっぽにかけて全体的に、身というよりもワイヤーっぽい感じがして、骨と皮が口の中に残るので、それらに比べればどちらかというと卵の方が良いような気がするけれど、でも卵単体を取り出してタラコやイクラカズノコみたいに食べたいかと言われると別に全くそうではない。魚卵の中でししゃもの卵が一番好きな人はこの世に居ない。そもそも、子持ちのししゃもだけが選り分けられて食卓に上っているのがまず変じゃないですか。我々はその恣意性に一度目を向けた方が良い。

あとししゃもは苦い。そう、味。味である。固いし、乾いているし、苦い。後味がずっと苦い。
どこから食べてもどこかが苦い。給食の話に戻るが、通っていた小学校では誰が言い出したのか、ししゃもを頭から食べるかしっぽから食べるかによって効能が違う、みたいな迷信が、まことしやかに語られていた。頭から食べれば賢くなる。しっぽから食べれば足が速くなる。
なんだそれは。「たいやき、しっぽから食べる? 頭から食べる?」なら、まだ分かる。
頭としっぽじゃ餡子の量がちょっと違うからね。どっちから食べても甘くて美味しいし。
でもししゃもは。ししゃもは違うじゃないか。ししゃもはどっちから食べても苦い。頭の方が苦い? いや、しっぽの方もなんか焦げてて苦いのである。モソモソするし。頭が良くなろうと、足が速くなろうとできればどちらからも食べたくないんです。大人ってそういう機微が分かんないんだよな。

そして、まだある。ししゃもはご飯が進まない。
ご飯のお供トップ10、みたいな話題でししゃもが出てきたことがあるか。ない。
ししゃもは油分に乏しい。ツナマヨ。焼き鮭。カルビ。ご飯に合う食べ物は適度な脂質を含んでいる。食べるラー油なんてもうほぼ油だし。ししゃもはどうか。ジューシーな、油の滴るようなししゃもを見たことがあるか。ない。もしかしたら世界にはそういうししゃもが居たりするのかもしれないがテレビやなんかでも「このししゃもの脂が絶品」みたいな紹介のされ方をしているのは見たことがないから多分そんなものは居ない。ご飯に合う合わないで思い出したが、となりのトトロのサツキがお弁当を詰めるシーン。朝ごはんの時間、自分の分のお弁当が準備されていることに興奮したメイがドタドタと足を鳴らしお父さんに窘められるあのシーンで、サツキが詰めているお弁当ではなんとししゃもがメインを張っている。諸兄はユーチューブで「見るだけでお腹が空いてくる! ジブリアニメの料理・食事シーン集」のようなものを見たことがないだろうか。千と千尋の神隠しでお父さんとお母さんが貪る中華料理とかカルシファーの作るベーコンエッグとかラピュタの目玉焼きパンとかに紛れてししゃものお弁当が出てくることがあるけれど、あれが本当に納得いかない。別にサツキちゃんの作るお弁当に文句があるわけではない。しかしどうしてもその他の料理に比べて、ししゃものお弁当を見るだけでお腹が空いてくることはないだろう、と思ってしまう。ししゃもはご飯が進まないからなあ!!!!!!!

興奮してきた。
こうやってひとつの食べ物への批判を執拗に繰り返すとよく出てくる反論として「本当に美味い○○を食べたことがないんだよ」というのがある。この反論について反論する。
ウニだったら分かる。ウニは当たり外れがあるから。あとフォアグラとか。
30年余り生きてきた経験則として、一般に高級食材と呼ばれているもので、しょっぱなで口に合わないと思った場合、それはその食材の鮮度が悪いか調理法が悪いかとにかく何かしらの不具合を疑った方が良い。
でもししゃもは?
週刊少年ジャンプハンターハンターという漫画に、戦闘の勝敗について当事者同士のポテンシャルとコンディションを図解するシーンがある。これです。

ABCDE、それぞれ戦闘力にぶれがあるとして、コンディションの良し悪しによっては実力的に劣るCだってDに勝てるときがある、というわけだ。分かりやすい。
仮に絶不調のハンバーグと絶好調のししゃもを戦わせてみるとする。もしかしたらししゃもでもハンバーグに勝てるのではないか。そんなししゃも派の一抹の期待をよそに、申し訳ないが、答えは否である。
この図でいうとEがししゃもで、Dがハンバーグだ。「本当に美味い○○を食べたことがないんだよ理論」にはこういう穴がある。絶好調のししゃもは、「ししゃもにしては」美味いだけなのだ。ハンバーグには勝てない。
あいつはあいつなりに頑張ったよ。誰かがそういう慰められ方をしているのを見たことがあるだろうか。あるいは、そういう慰めを受けたことがあるだろうか。あなたたちが、ししゃもや、そのほかの「本当に美味しい○○」に強いているのはそういう残酷さである。

と、ここまで書いておいて結局あんまりししゃもについて知らないな、と思ったのでざっとググってみると、なんと我々の知っているししゃもは実はししゃもではないということがわかった。
カペリンというししゃもに似た小魚。カペリンは別名カラフトシシャモといって、本物のししゃもが乱獲で数を減らしたため代替魚として流通することになったらしい。現在ししゃもとして全国の食卓に上っているのはほぼ全部カペリンで、本物のししゃもはもう北海道にいかないと食べられない。この記事の中でもう50回くらいししゃもって書いちゃったけどそれらは実際全部カペリンへの文句だったというわけだ。なんなんだよマジで。

カペリン

でも良かった、今まであまりよく思ってなかったししゃもはししゃもじゃなかったわけで、本物のししゃもは我々の知るししゃもよりもしかしたらもっとずっと美味しいのかもしれない。

ししゃもについての不満で原稿用紙10枚書くぞ、と思って書き始めたはいいけれど最後に変な情報を掴んだせいで何が言いたいのか宙ぶらりんになってしまった。賢い人ならここからちゃんとオチをつけるんだろうが何も思い浮かばない。
小学校の頃にちゃんと頭から食べておけば良かったなあ!!!